本を売るためでもなく、読むためでもなく、盗む理由とは?
今回のポイントは本を構成するパーツそのもの。
実に面白い使い方です(笑)
栞子は本だけでなく、人というものもよく考察出来る子ですね。



(あらすじ)篠川栞子(剛力彩芽)は、小山清の『落穂拾ひ』を盗まれ気落ちする「せどり屋」の志田肇(高橋克実)を五浦大輔(AKIRA)に紹介した。すると、志田はあいさつもせず本を盗まれたときの状況を話し始めた。  志田は古書堂へ来る前、ある寺に用があり自転車で向かった。ところが着いたとたんに腹痛がし、荷物を残したままトイレへと駆けだした。そのとき、音がして振り返ると女子高生らしい少女(水野絵梨奈)と自転車が倒れているのが見えたので、戻って声をかけた。しかし、少女は見向きもせず自分の紙袋の中身を確かめていた。志田は気になったが、自転車を起こしておいてくれと頼むとその場を立ち去った。トイレから戻ると、『落穂拾ひ』だけが紛失していた。少女が盗ったのは間違いないと志田は言う。  栞子は、少女が『落穂拾ひ』を盗った理由こそが少女を探す鍵になると言い、自転車とほかの本はどうなっていたのかと聞く。自転車も本もその場に放置されていたが、本は仲間の笠井菊哉(田中圭)が拾い集めてくれていたと志田は答えた。また笠井は、寺からバス停へと走り去る少女を目撃していたという。  栞子の提言で笠井と会った大輔は、あの日、笠井が少女に頼まれハサミを貸していたと聞く。さらに、バス停まで走った少女が、バスには乗らなかったとの証言も得た。それを聞いた栞子は、少女が盗むのは『落穂拾ひ』でなければならなかったのだと言う。

『落穂拾ひ』を持って行った女子高生の名は小菅奈緒。
本を持ち去った後(?) 志田の仲間・笠井からハサミを借りる謎の行動。
その後でバス亭まで行ったが、バスに乗らなかった?


五浦は聞き込みをして、バス亭で奈緒と会った男子高生を見つける。
実はこの男子は奈緒をフッてしまったのですが。
だからって、会ってすぐの五浦に奈緒の連絡先を教えるなんてね(^^;


奈緒はその男子高生への誕生日プレゼントに手作りのお菓子を贈ろうとした。
転んだでラッピングが取れてしまい、リボン代わりのものを探して本を持って行った。

「落穂拾ひ」の文庫本には、しおり代わりのヒモのスピンが付いていて。
これをリボン代わりにしたかったのですね。
そしてスピンを外すためにハサミを借りた。


栞子は少しのヒントでよく真相を見抜けたよね。
ただ本好きなだけでない観測眼というか。


「落穂拾ひ」は仕事と家族も無くした志田にとって思い出の大事な本。
幸せな生活が確かにそこにあったという証です。


奈緒は本を返し、お詫びとして爪切りと耳かきもプレゼント。
それは、「落穂拾ひ」の内容と同じプレゼント。

貧乏小説家の男が、古本屋を経営する若い娘と知り合ってプレゼントを貰う
そんなことは願望でしかないかな。


プレゼントを男子高生に受け取って貰えなかった奈緒の境遇にも重なります。
志田に可哀相になと言われ、泣き出す奈緒…。


哀しい結末の話だけど、奈緒も話して癒されたのが救いですね。
「落穂拾ひ」の内容とシンクロしてるのも良いです。